現場リポートのためのテレプロンプター — スタンドアップを1テイクで
The problem
スタンドアップは放送では30秒、うまくいかない日は現場で1時間かかります。言葉に選択の余地はありません。正しい表記の固有名詞、裁判所が示したとおりの罪状、役所の広報が実際に確認した数字。車の中で書き、デスクの誰かが承認した原稿を、今度は風の中、報じている対象そのものの前に立って、一言一句そのとおりに言わなければなりません。
締め切りは交渉に応じません。ニュースは13時に始まり、編集長は12時半までに素材を求め、光も、会見も、警察の規制線も、あなたの記憶力に発言権が回るずっと前にスケジュールを決めてしまいます。名前を一つ噛めばテイクは頭からやり直し。撮り直しのたびに、別の仕事に割り当てられていた1分が消えていきます。 撮り直しは路上そのものも失わせます。冠水した商店の前でのスタンドアップ3回目には人だかりができ、人だかりはフレームに入り込んでくるのです。
現場から出稿する記者の多くは、いまや一人です。フレームから外れても合図をくれるカメラマンはいないし、プロンプターのオペレーターもいません。そもそもプロンプターがないのですから。あるのは三脚の上のスマートフォンと、頭の中に収まる分の言葉だけ。スタジオにはオペレーターとガラス板がありますが、路上にはどちらもありません。
そしてデスクは、同じスタンドアップから二つのものを求めるようになりました。局のストリームへのライブ中継と、編集版のためのきれいな録画です。一つの歩道から両方を納品するには、かつては中継車と技術者2人が必要でした。
How this gets made today
現場の定番テクニックは、3文ずつ暗記してスタンドアップを細切れに撮ること。多くの現場リポートが話の途中で資料映像に逃げるのはそのためです。編集がつなぎ目を隠しているのです。箇条書きとアドリブは現場の空気を伝えるには有効ですが、放送前に法務が確認した段落には通用しません。 もうひとつの現場の小技はイヤホンプロンプターです。台本を一度ボイスメモに吹き込み、イヤホンで再生しながら話す。出来上がるのは、聞こえてくるものを半秒遅れで復唱する人の、あの紛れもないリズムです。
紙もまだ現役です。レンズのすぐ下に構えたノート、1文につき2回落ちる視線。雨と風の中では紙は無いよりたちが悪く、日が落ちれば2台目のスマートフォンを懐中電灯代わりにかざすことになります。
ライブ中継の側では、資金のある局はボンディングエンコーダーを持たせますが、それ以外は台本というものを知らない配信アプリを開き、反対の手に持った紙を読むことになります。正しく言うことと、電波に乗せること — この仕事の二つの半分が、互いを知らない別々の道具の中に住んでいるのです。
How it works with Talk2Camera
Talk2Cameraは、撮影しているスマートフォンのレンズ直下に台本を置き、話すのに合わせてスクロールさせます。トラックが通り過ぎるまで黙れば待ち、状況が変わって不要になった文を飛ばせば追いつきます。音声認識は端末上で動くので、電波が一本も立たない現場でもプロンプターは動作し、公開前の台本の言葉が端末の外に出ることもありません。
ライブ中継には、局のインジェストのRTMP URLとストリームキーを貼り付けるだけ。媒体がYouTubeやFacebookでライブ配信をするなら、そのキーでも同じです。プロンプターが動いているのと同じアプリから配信でき、モバイル回線が不安定になれば、話し続けるあなたの背後で黙って切れるのではなく、間隔を空けながら自動で再接続します。 もちろん配信そのものには電波が要ります。要らないのはプロンプターのほうです。そして自動再接続が買ってくれるのは、正直な失敗の形です。つっかえても戻ってくる中継であって、いつの間にか誰にも届いていない独り言になっている中継ではありません。
録画と配信は別々の判断です。きれいなローカル録画は配信が何をしていようと回り続け、配信に触れずに録画だけを開始・停止できます。2分間の中継の後には、圧縮されたストリームのキャプチャではなく、編集版がそのまま使えるフル品質のファイルが手元に残ります。
画作りの都合でスマートフォンを道の反対側の三脚に置くなら、2台目のスマートフォンやタブレットがレンズ脇のプロンプターになります。ペアリングは一方の端末をもう一方の画面に向けるだけ。コードは一度きりで、3分で失効します。2台の間の接続は直接で、ルーターも会場のWi-Fiもアカウントも要りません。Apple端末同士ならネットワークなしでつながります。iPhoneとAndroidのセカンドスクリーンの組み合わせでは、コードを表示するのはAndroid側です。それをiPhoneで読み取れば、2台はつながります。そして接続がテイクの途中で切れても、台本は目の前で止まらず、そのままスクロールを続けます。
A worked example
冠水した商店街、11時40分。正午のニュースは12時のライブ映像と、昼の編集版のためのスタンドアップを求めています。デスクが承認済みの台本をメールで送ってくる。それをアプリに貼り付け、水際の三脚にスマートフォンを据え、レンズの横にタブレットをプロンプターとしてペアリングします。
正午、局のRTMPインジェストに向けてライブ配信を始め、中継原稿を読みます。台本は声を追いかけ、その下では録画が回り続けています。中継が終わったら配信を止め、カメラはそのまま回し、編集版のためのスタンドアップをもう一度、今度はイヤホンの声なしで、きれいに読み直します。
12時15分には、ローカルのファイルは最初の一言まで整えられて出稿済み。現場一つ、スマートフォン一台で納品二つ。しかも文言はデスクが承認したそのままです。記憶ではなく、画面にずっと表示されていたのですから。